住職のひとりごと22
2022/01/18
住職のひとりごと22
水島新司さんを偲んで
漫画家の水島新司さんが亡くなりました。野球漫画のトップランナーだった方で、「ドカベン」が一番有名かもしれませんが、私が一番読んだのは「男どアホウ甲子園」でした。原作は別の方だったので水島新司さんの他の作品とは趣が少し異なっており、少年誌連載にもかかわらず当時の世相を反映してドヤ街の暴動の場面もあり、連載当時小学校低学年だった私にはなかなか衝撃的でもありました。
子どものころ、教科書やノートに落書きしてよく𠮟られましたが、大半は水島新司さんの絵を真似した野球のイラスト(と言える代物ではなかったですが)でした。もちろん、「ドカベン」「あぶさん」「野球狂の詩」といった他の作品も食い入るように読みました。きちんと野球をした経験はありませんが、テレビのプロ野球中継と新聞記事、そして水島新司さんの漫画から下手の横好き以上の野球知識を身に付けたように思います。いまでも野球漫画、スポーツ漫画をつい読んでしまい、時間がたつのも忘れてしまうのは水島新司さんの「おかげ」です。
諸行無常、様々のものは移り変わっていきますが、残された作品、言葉は多くの人の心に残り、影響を与え続けてくれます。訃報に接し、子どものころのこと、授業中に落書きしていた時の心境、手触りがよみがえり、登場人物のセリフが頭の中でリフレインしています。当時の私と何が変わって、何が変わっていないのかということもふと考えて、残りそれほどは長くはないであろういのちの道の歩き方に思いをいたしております。