住職のひとりごと21
2021/10/24
住職のひとりごと21
本山本願寺の直轄寺院である築地本願寺の執行長・安永雄玄師は、在家出身で銀行員、コンサル業経営を経て築地本願寺の代表役員となった異色の経歴の持ち主ですが、若者に向けて出されたメッセージの中で次のようなことをおっしゃっています。
自身の経験から「経営のプロ職人」に必要な特性のひとつとして、倫理観すなわち社会(他者)に貢献し公益に資することを使命として一定の規範(掟)を守れるということを挙げています。
いわば利他の精神が経営にも必要であり、経済活動であっても自身の利益を広げることに注力するのではなく、他者のために何ができるかという視点が大切だということです。
また、仏教的な視点からは、煩悩具足の凡夫であることの自覚と覚悟を説き、自身の銀行員時代の反省と合わせて、承認欲求を否定し、ありのままの自分を受け入れることを勧めます。
阿弥陀如来はありのままの私を救ってくださるのですが、強い承認欲求は等身大の自分の否定につながりやすく、真宗の救いとは相容れないと言えます。
外的な「社会的成功」や「高い年収」をしあわせの基準にして振り回されることのないよう、自分のしあわせの基準をどこに置くのか、自分自身で自分の心の内面で丁寧に問い確かめていくことを若者に求めておられますが、これは年齢を問わず、すべての人が考えるべきものでしょう。